これまでの歩み

 2007年5月現在

 今我々が所属するのは生命科学研究科・生態システム生命科学専攻・進化生態科学講座・機能生態分野ですが、前身は理学部生物学科植物生態学講座でした。これは我が国最初の植物生態学の独立の講座でした。初代教授である吉井義次のもとでは、陽葉・陰葉の比較といった生理生態学的なテーマも中心的な研究として位置づけられていたようです。したがって、本学における生理生態学研究の歴史は講座開設とほぼ同時に始まったことになります。しかし、第二次大戦後には、本講座における研究の中心は植生学・自然保護といった自然史的な方面に移りました。生理生態学が講座における研究の中心の一つとなったのは1988年に広瀬忠樹が教授として赴任してからになります。広瀬は2005年3月に退職し、東京農大へ転出しました。その後は彦坂幸毅がグループを引き継いでいます。

1988〜1992 群落内の窒素分配
1988〜1993 個体の成長解析
1991〜 一年草の繁殖収量のメカニズム
1994〜 多種共存系・競争系の解析
1996〜 地球環境問題・高二酸化炭素濃度条件での物質生産
1997〜 光合成系の順化
1998〜 光合成特性の種間差
2002〜 光阻害・光防御
2003〜 葉群動態の解析


1988〜1992 群落内の窒素分配

 植物群落内には上部から下部にかけて光環境の勾配があります。上部と下部では、光合成特性など葉の性質に違いがあることがわかっていましたが、どのように違うのか、その違いにどのような意義があるのかはわかっていませんでした。この一連の研究は、群落内の個葉の性質がどのように決まっているのかを生理学的な面から解析し、さらに、その生態学的意義までも明らかにした研究です。

 赴任当時、広瀬は1987年に群落内の最適窒素分配理論を取り入れた群落光合成モデル(Hirose & Werger 1987, Oecologia 72: 520-526)を発表した直後でした。葉の光合成能力は葉の窒素含量と高い相関があります。このモデルでは、群落の中でどの葉にどのように窒素を分配すると群落光合成がどう変化するかを考えています。窒素をどの葉にも同じように分配するよりも、高い位置にある葉が低い位置にある葉よりも高い窒素含量を持つほうが、群落(個体)全体の光合成量を増加させることが示され、また実際の群落でも最適に近い窒素分配が行われていることが明らかとなりました。赴任してしばらくは、この群落内の窒素分配についての展開が中心的な研究となりました。これらの研究は主にオランダのユトレヒト大学との共同研究として行われました。主な成果を挙げると、個体密度が窒素分配に与える影響を明らかにし(Hirose et al. 1988b)、スゲの仲間 Carex actiformis における窒素分配の解析を通して窒素分配には光が調節的な役割を持つことを示しました(Hirose et al. 1989b)。この他にも多くの論文・総説が発表されました。

総説:

Werger MJA, Hirose T (1991) Leaf nitrogen distribution and whole canopy photosynthetic carbon gain in herbaceous stands. Vegetatio 97, 11-20.

Anten NPR, Hikosaka K, Hirose T (2000) Nitrogen utilisation and the photosynthetic system. In: eds. B Marshall and J Roberts, Leaf development and canopy growth. pp. 171-203, SheffieldAcedemic Press, Sheffield.


1988〜1993 個体の成長解析

 植物の栄養器官は根・葉・茎からなりますが、それぞれの器官にどれだけバイオマスや栄養塩が投資されるかは、同一植物でも生育条件によって異なります。例えば、貧栄養条件では根の重量比が大きくなることが知られています。

 広瀬は、80年代の半ばから、個体の物質分配の栄養環境変化への応答について解析しています。栄養条件に対する物質分配の応答が成長や呼吸とどのような関係があるかなどをモデルを用いて解析し、物質分配の変化がその環境での成長速度を増加させる意義があることを示しました(Hirose 1988a, b, Hirose et al. 1988a, 1989a)。また、Chiba & Hirose (1993) は富士山火山荒原で遷移初期に現れる草本3種の成長の比較を行い、種によって物質分配の環境応答が異なることを示しました。


1991〜 一年草の繁殖収量決定のメカニズム

 繁殖収量(最終的な繁殖器官の重量)は個体の子孫の数を決定する重要な要因です。これまで、大きな個体ほど大きな繁殖収量をもつなどという漠然とした傾向は知られていましたが、繁殖収量がどのような要因の影響を受けるのか、生理機能に基づいた解析は多くありません。この一連の研究では、数理モデルと実験を併用することにより、繁殖収量が決まるメカニズムと意義の両方を理解しようとしました。

 Sugiyama & Hirose (1991) は、一年生草本オオオナモミを用いて繁殖収量を調べる研究を行いました。これは、Cohen(1971)が発表した一年生草本の最適開花理論をもとにした研究です。一年草は成育可能期間が限られています。あまり遅くまで栄養成長を続けると、十分に繁殖器官を作ることができません。かといって早く開花してしまうと個体が小さいために繁殖収量は少なくなります。この研究では、窒素含量を変えてオオオナモミを育て、理論的な最適開花時期と実際の開花時期を比較しました。両者には大きな差がなく、オオオナモミが最適に近い開花フェノロジーを持っていることがわかりました。この研究はさらに、発芽時期の異なるオオオナモミの繁殖収量の比較(Shitaka & Hirose 1993)、日長を調節することにより開花日を変えた個体の繁殖収量の比較(Shitaka & Hirose 1998)と発展しました。衣笠利彦(2005年博士取得、現在は鳥取大)は繁殖収量に対する高CO2の影響(Kinugasa et al. 2003)や光合成生産と呼吸の影響(Kinugasa et al. 2005)を解析しました。

総説:

Hirose T, Kinugasa T, Shitaka Y (2005) Time of flowering, costs ofreproduction, and reproductive output in annuals. In: The allocationof resources to reproduction in plants. Eds by EG Reekie and FA Bazzaz. Elsevier Inc., The Netherland, pp. 159-190.


1994〜 多種共存系・競争系の解析

 多くの植物群落には複数の種が共存しています。植物が要求する資源は共通しているのに、競争により排除されず、共存することが可能なのでしょうか? これは生態学の大きなテーマの一つです。

 1994年から広瀬は再びユトレヒト大学との共同研究を行い、多種共存系の解析に仕事の中心を移しました。ここでは一つの新しいアイディアがありました。それは、各種の資源獲得におけるコストとベネフィットを定量化して比較する、というものです。植物群落内では異なる種・異なる個体が同じ資源を争っているはずです。しかし、各個体がどれだけの資源を吸収したのかを実際に調べた研究は、実はほとんどないのです。さらに、その資源を吸収するために植物がどれほどコストをかけたのか、などは誰も考えたことがありませんでした。広瀬は光の競争について、非常にシンプルに「コスト」を定義しました。それは、「個体の地上部重量」です。地上部の役割は光を吸収することであると考えれば、地上部バイオマスは吸収のためのコストと考えられるわけです。

 Hirose & Werger (1994, 1995) では、ある一つの群落内に共存している各種がどのように光や窒素といった成長に必要な資源を獲得しているのかを調べました。下層に生育する種は、上層に生育する種に比べわずかな資源しか獲得できませんが、地上部重量(コスト)あたりの獲得資源量(ベネフィット)として資源獲得効率を比較してみると、下層の種も上層種に匹敵する効率を実現していることが明らかになりました。

 ニールスアンテン(1995〜1997年特別研究員、2001年助手、現在はUtrecht大)は広瀬の多種共存系の仕事のさらなる展開を行いました。釜房湖畔のオオオナモミ群落(Anten & Hirose 1998, 2001)、東北大川渡農場のススキ草原(Anten & Hirose 1999, 2003)を対象に様々な調査を行いました。また、釜房湖畔のオオオナモミ群落については、群落内のサイズの異なる個体の光合成量が彦坂幸毅(1995年〜)らにより計算されました(Hikosaka et al. 1999)。この他、金華山島のシバ草地がシカの採食を排除することによってススキ草原に変化するまでの遷移系列上の様々な群落における光の競争を解析しました(Werger et al. 2002)。

 以上の研究は主に光利用についての研究ですが、窒素利用についても研究を行っています。彦坂はオオオナモミ群落のサイズの異なる個体の窒素の吸収・利用・損失を調べました(Hikosaka & Hirose 2001)。安村有子(2006年博士取得・現在は森林総研)は八甲田山ブナ林で共存する上層種・下層種の窒素利用効率などを解析しました(Yasumura et al. 2002, 2005, 2006a)。オオオナモミ群落では、下層個体は低い窒素利用効率しかもっていませんでしたが、ブナ林の下層種は上層種に匹敵する高い窒素利用効率を実現していました。

 これらの一連の研究から明らかになった、最も注目すべき知見は、「共存系」と「競争系」の違いです。広瀬がオランダで扱った群落や、アンテンが扱ったススキ群落、ブナ林では数十年種組成が変わっていないので、「共存系」と考えられます。一方、撹乱後等に見られる一年生草本群落では、激しい競争が起こり、多くの個体が種子を残す前に死んでいくことが観察されます。このような系は「競争系」であると考えられます。調査の結果、「共存系」における下層に存在する種は上層種に匹敵する資源(光など)獲得効率を実現していますが、「競争系」における下層個体の光の資源獲得効率は上層個体に比べ大きく劣ることがわかりました。つまり、ある程度以上の資源獲得効率(ベネフィット/コスト比)を実現できたものが共存でき、できなかったものは排除される、ということが示唆されるわけです。

 理論的な解析も行っています。これまでの群落光合成モデルは個体レベルの解析にはあまり使われてきませんでしたが、彦坂は群落モデルを改良し、個体の進化的安定戦略を解析するモデルを提唱しました(Hikosaka & Hirose 1997)。このモデルでは葉の角度に着目し、群落光合成は垂直な葉を持つ方が高くなりますが、水平な葉の方が進化的に安定であることを示しました。また、このモデルでは、どのような戦略が進化的に安定なのかは、個体間の相互作用(資源獲得量がどれだけ隣接個体の影響を受けるか)に大きく左右されることが示されました。実際の群落で個体間相互作用をどのようにして測定するのかを新しい理論と方法で提案しました(Hikosaka et al. 2001)。

総説:

Hirose T (2005) Development of the Monsi and Saeki theory oncanopy structure and function. Annals of Botany 95: 483-494.


1996〜 地球環境問題:高二酸化炭素濃度での物質生産

 現在地球大気のCO2濃度は急激に増加しており、今世紀末には現在の2倍の濃度になると予測されています。このCO2濃度上昇は気温の上昇を引き起こす可能性が指摘されています。植物は光合成によってCO2を吸収します。そこでCO2のシンクとしての役割が期待され、高CO2濃度下での植物・植物群集のふるまいが着目されています。

 広瀬はハーバード大学と共同研究を行い、一年草の群落構造がCO2濃度の上昇によってどのように変化するかを解析しました(Hirose et al. 1996a, b, 1997, Hirose & Bazzaz 1998)。群落の生産力、つまり群落光合成は、単純には葉の光合成と群落の葉量の積として表されます。この研究では、群落の葉量は利用できる窒素量により決まること、群落光合成の増加は主に葉の光合成の増加によることを、実験・理論の両面から示しました。

 彦坂は、光合成系タンパク質の組成変化が高CO2条件での物質生産に与える影響を理論的に予測しました(Hikosaka & Hirose 1998)。

 1997年には東北大学圃場にオープントップチャンバー(OTC)を設置しました。我々のOTCは側面を透明なシートで囲んだ箱で、下部から空気を吹き込み、内部の温度上昇を防ぎます。また、吹き込む空気のCO2濃度を制御することで、野外に近い条件で高CO2環境を実現します。OTCを利用し、これまでに我々が発見した現象が高CO2環境にどのように影響されるのかを解析しました。長嶋寿江(1996〜1999年特別研究員・現在は東京農大)らはシロザの純群落を作り、個体間競争が高CO2にどのように影響されるのかを調べました(Nagashima et al. 2003, Hikosaka et al. 2003)。イタドリの成長解析を行い、高CO2環境で葉重/葉面積比が上昇することが成長速度の増加に貢献することを、実験結果と理論の組み合わせによって明らかにしました(Ishizaki et al. 2003)。オオオナモミの繁殖収量への高CO2の影響を解析しました。貧栄養条件では成長・繁殖ともCO2の影響を受けず、富栄養では成長・繁殖器官重とも高CO2で増加しました。しかし種子生産量はCO2の影響を受けず、窒素栄養が種子生産を律速していることを示唆しました(Kinugasa et al. 2003)。また、11種の一年草の種子生産の高CO2応答を比較し、高CO2で窒素吸収を促進できた種が種子生産を増加させることができることを指摘しました(Miyagi et al. 2007)。

 岩手県雫石市で行われている東北農研のイネFACE(Free Air CO2 enrichment)実験に参加し、アンテンらがイネ群落の群落構造と群落光合成速度の関係の研究(Anten et al. 2003)を、アラマス(Almaz Borjigidai, 2006年博士取得・現在は中国民族大)らが個葉光合成特性(Borjigidai et al. 2006)の研究を行いました。

 自然界で唯一高CO2環境が維持されている生態系である、天然CO2噴出地を利用した研究を始めました(Onoda et al. 2007)。

総説:

Hikosaka K, Onoda Y, Kinugasa K, Anten NPR, Nagashima H, Hirose T (2005) Plant responses to elevated CO2 concentration at different scales: leaf, whole plant, canopy, and population. Ecological Research, 20: 243-253.


1997〜 光合成系の順化

 葉の光合成系は、同一種でも環境が変化すると様々な変化を示します。その生理学的メカニズムや生態学的意義(なぜそのような応答をするのか)は古くから興味をもたれている問題です。

 彦坂は東大での院生時代から葉の光合成の窒素利用に着目した研究を展開しています。着任後はタンパク質分配の理論を発展させ、生育温度(Hikosaka 1997)・生育CO2濃度(Hikosaka & Hirose 1988)が異なるときの最適なタンパク質分配と、その物質生産への影響を予測しました。生育温度の影響については実験的な解析も行い、シラカシ(Hikosaka et al., 1999b)やオオバコ(Hikosaka 2005b, Ishikawa et al. 2007)における温度順化のメカニズムを調べました。温度順化についてはHikosaka et al. (2006) にレビューとしてまとめられています。

 野外の季節的環境変動に対する光合成系の応答についての研究を行っています。Onno Muller (学振外国人特別研究員)は、林床常緑低木の葉の光合成特性の変化が光と温度環境の変化でよく説明できることを明らかにしました(Muller et al. 2005)。温度に着目した季節変化への順化応答については小野田雄介(2005年博士取得、現在はマッコリー大)が高CO2環境との相互作用(Onoda et al. 2005a)や種間差(Onoda et al. 2005b)について解析を行いました。他にもいくつか論文を発表しています(Borjigidai et al. 2006, Yasumura et al. 2006b, Hikosaka et al. 2007)。

 光合成特性と葉の形態がどのようにリンクしているのか、という興味から、弱光環境で展開を終了した葉を強光にさらしたとき(強光順化)に葉に起こる変化を解析しました。強光順化では光合成能力が増加しますが、その増加のためには葉緑体体積の増加が不可欠です。葉緑体は葉肉細胞の細胞表面付近に配列されています。小口理一(2005年博士取得、現在は東京大)は、弱光生育葉は葉緑体が存在しないスペースを高頻度でもっており、強光移植後にそのスペースを埋めるように葉緑体が大きくなり、光合成能力の増加を可能にしていることを発見しました(Oguchi et al. 2003, 2005, 2006)。

総説:

Hikosaka K, Ishikawa K, Borjigidai A, Muller O, Onoda Y (2006) Temperature acclimation of photosynthesis: mechanisms involved in thechanges in temperature dependence of photosynthetic rate. Journal of Experimental Botany, 57: 291-302.(温度順化)


1998〜 光合成特性の種間差

 葉の光合成能力は種によって大きく異なります。なぜ光合成能力の低い種が淘汰されず残っているのか、つまり、光合成能力が低いことにどのような生態学的意義があるのかはよくわかっていない問題です。

 光合成の種間差については、房総半島の常緑樹林で共存する種間の比較(Hikosaka & Hirose 2000)、マレーシアキナバル山の異なる標高に生育する種間の比較(Hikosaka et al. 2002)を行いました。彦坂は全地球的植物形質ネットワークGlopnetに参加し、光合成能力と葉の寿命の間に生活型・系統・バイオームによらない普遍的なトレードオフがあることを示しました(Wright et al. 2004, 2005a, b)。

 光合成能力と葉の寿命の間のトレードオフをもたらす生理学的な原因の解析を行っています。Hikosaka et al. (1998a)は一年草と常緑樹の光合成特性を解析し、光合成系への窒素分配、葉内のCO2拡散、酵素の比活性など様々な要因が光合成能力の種間差の原因となっていることを示しました。さらに葉内の窒素分配に着目し、窒素あたりの光合成能力が低い葉では細胞壁への窒素分配が多く、光合成系への窒素分配が犠牲になっていることを、発芽時期の異なるイタドリ(Onoda et al. 2004)とコナラ属の落葉・常緑種(Takashima et al. 2004)を用いて明らかにしました。

総説:

Hikosaka K (2004) Interspecific difference in the photosynthesis-nitrogen relationship: patterns, physiological causes, and ecological importance. Journal of Plant Research, 117: 481-494.


2002〜 光阻害・光防御

 光合成系を維持するためのシステムとして、光防御系に着目しています。光合成には光が必要ですが、強すぎる光は光合成系に傷害を引き起こします。これを光阻害といいます。植物は、光阻害を防ぐために複数の防御系を持っています。これらの防御系は、数多くの研究によって調べられていますが、それぞれの系の防御効果が、他の系の効果と区別されることなく評価されてきたため、どの系がどれだけ有効なのかはよくわかっていませんでした。また、生育条件によって同一植物でも光防御能力が変化します。防御能力の変化の原因にも諸説あり、統一見解はありませんでした。

 加藤真晴(2002年博士取得・現在は不二製油)は生育条件に近い状態で光阻害を解析する実験系を構築しました(Kato et al. 2002a)。次に、様々な光条件・栄養条件を組み合わせることにより、各防御系の能力が様々に異なる植物を育成し、各防御系の効果を評価しました。これにより、傷害修復系(Kato et al. 2002b)、熱放散機構(Kato et al. 2003)などの効果を明らかにしました。また、これらの結果から、「光合成でも光防御系でも消費されなかった過剰エネルギー」が光化学系IIの光不活性化の速度を決定していることを示しました(Kato et al. 2003)。さらにいくつかの研究が行われました(Tsonev and Hikosaka 2003, Hikosaka et al. 2004)。


2003年〜 葉群動態の解析

 すでに上に書きましたように、我々は群落光合成モデルをキーとして群落構造の解析を行ってきました。群落光合成モデルでは群落を静的なものとして解析するのですが、実際の葉群は葉の生産と枯死が起こる動的なシステムです。これまでの群落光合成モデルに時間変化を組み込んだモデルを発表しました(Hikosaka 2003)。

 及川真平(2005年博士取得・現在は京都工芸繊維大)は葉群動態を様々な観点から解析することを試みています。ワラビ群落では生育期間中連続的に葉が生産されおり、各時期に出現した葉の特性が異なることを示しました(Oikawa et al. 2004)。また、オオオナモミ群落の葉群動態を葉の増加と脱落の面から解析しました(Oikawa et al. 2005, 2006)。

 安村は葉の枯死に伴う窒素回収に着目し、植物体内のシンク-ソースバランスが窒素回収効率の高低に重要であることなどを指摘しました(Yasumura et al. 2005, 2007)

総説:

Hikosaka K (2005) Leaf canopy as a dynamic system: ecophysiology and optimality in leaf turnover. Annals of Botany, 95: 521-533. 


引用されている発表論文は、こちら(94年以降の分野全体)またはこちら(1994年以前の生理生態関係)をご覧下さい。