日本植物学会 東北支部会 第18回大会;発表要旨


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一年生草本オオオナモミの葉群における葉面積と窒素の動態

○及川真平1・彦坂幸毅1・広瀬忠樹2(1東北大・院・生命科学、2東農大・国際食料)

我々は、2つの栄養条件(富栄養;HN、貧栄養;LN)で生育させた一年生草本オオオナモミの葉群において、栄養成長期間中(5月下旬-8月下旬)の葉面積と窒素の動態を調べた。実験期間中、植物は新葉の生産と伸長成長を続けた。葉の枯死は両葉群でほぼ同時(6月中旬)に始まり、実験が終了するまで続いた。葉群の現存葉面積は、LNでは実験期間中増加し続けたが、HNでは成長期間の後期に頭打ちになった。葉面積の生産速度と損失速度は、現存葉面積の増加とともに増加したが、異なるパターンを示した:生産速度は頭打ちになり、損失速度は指数関数的に増加した。これらは、葉群の現存葉面積に上限があることを意味する。葉面積の生産速度は、LNよりもHNで高かった。これは、現存葉面積あたりの生産速度がHNで高いことと、現存葉面積がHNで高いことの両方に起因した。葉面積の損失速度はLNよりもHNで高かったが、同じ現存葉面積のときの損失速度を比較すると、栄養条件間で有意な違いは見られなかった。この結果は、葉の損失の決定に光環境が関与していることを示唆する。一方、葉面積の損失速度と、新葉を展開するために必要とされる窒素の量との間には、正の相関が見られた。この結果は、葉の損失が新葉の生産のための窒素転流によって引き起こされたことを示唆する。葉群の葉面積と窒素の動態のシミュレーション・モデルから、葉面積の生産と損失が等しい定常状態では、現存葉面積はLNよりもHNで高いことが示された。また、窒素の吸収と損失が平衡に達したときには、葉群が持つ窒素の量はLNよりもHNで多いことが示された。これらの結果は、窒素と光の両方が葉の損失速度の決定に関与しているが、葉面積生産は窒素の利用可能性に強く支配されていることを示唆する。


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