第7回日本進化学会大会;発表要旨


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閉鎖花における表現型可塑性の遺伝的背景を探る

○森長真一・宮崎さおり・酒井聡樹・長谷部光泰

閉鎖花植物は、完全に開花せず受精する花(閉鎖花)と通常の花(開放花)を環境に応じて咲き分けるという表現型可塑性を示し、様々な系統で適応進化してきた。では、このような表現型可塑性は、どのような遺伝子の進化により進化してきたのか?

コカイタネツケバナは、全ゲノム配列が明らかになっているシロイヌナズナに近縁で、アブラナ科で唯一閉鎖花をつける。本種を材料に、まず、(1)閉鎖花形成は環境に対してどのように反応するのかを、環境制御下で解析した。さらに、(2)閉鎖花と開放花では遺伝子発現パターンにどのような違いがあるのかを、シロイヌナズナのマイクロアレイシステムを用いて解析した。

その結果、低温期間が長いほど、栄養成長期間が短縮し、個体サイズが大きくならずに閉鎖花を咲かせることがわかった。さらに、閉鎖花と開放花原基を含む花序組織を用いたマイクロアレイにより、閉鎖花と開放花で1.5倍以上発現量が変化する遺伝子を複数同定した。これらの結果より、コカイタネツケバナにおける閉鎖花形成は、低温期間の長さに伴う個体サイズの変化に対応した適応的な資源分配戦略であり、上記候補遺伝子の発現量変化の結果、花弁と雄しべの発生が抑制されて起こると考えられた。今後は、上記閉鎖花形成候補遺伝子の機能解析と進化を解明し、野生生物における適応進化の遺伝的背景の理解を目指す。


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